ゴルフシャフトのトルクとは?3度・5度の違いと選び方

ギア紹介

ゴルフシャフトのトルクは、同じ測定条件なら数値が小さいほどねじれにくくなります。ただし、低トルクだから方向性が良いとは限りません。

私が使っているDiamana PD 50Sは4.8°、S-TRIXX Y 50Sは3.7°。振動数はどちらも260CPMですが、実際に振るとYの方が硬く、張りを感じます。

この違いはどこから来るのでしょうか。2018年の研究結果と2ラウンドの実体験を交え、トルク3度・5度の違いや選び方を考えてみます。

シャフトのトルクとは?3度と5度の違い

トルクとは、シャフトに決められた力を加えたときのねじれ角度です。単位は度(°)。同じ条件で測れば、3°の方が5°よりねじれにくくなります。

比較項目低トルク(3°)高トルク(5°)
ねじれ量小さい大きい
感じ方の傾向しっかりした感触動きを感じやすい場合がある
方向性数値だけでは決まらない

ここで混同したくないのが「ねじれ」と「しなり」です。トルクはねじれやすさを示すもので、シャフト全体の曲げ方向の硬さではありません。

トルクが小さければ必ず球がつかまらない、という決まりもありません。実際のフェースの向きは、シャフトだけでなく打ち手の動きによって変わります。

さらに、メーカー間では測定条件が同じとは限りません。日本ゴルフ用品協会の測定ガイドラインはありますが、違うメーカーの数字を単純に順位付けするのは避けたいところです。

トルクでフェースの開き方は変わる?

ドライバーヘッドの重心は、シャフトの中心軸から離れています。ダウンスイングでは、この位置関係によってシャフトをねじる力が働きます。

同じ力が加われば、高トルクのシャフトほどねじれ量が大きくなります。ねじれる方向によっては、インパクト時のフェース角にも差が出ます。

もっとも、「高トルクなら必ず開く」「低トルクなら必ず閉じる」という話ではありません。手首の動き、ヘッドの特性、シャフトの曲げ方なども関係するからです。

研究ではインパクトのフェース角に約1度の差

2018年の論文「The influence of golf shaft torque on clubhead kinematics and ball flight」では、右打ちのゴルファー40人が2種類のドライバーシャフトを各14球ずつ打っています。

用意されたシャフトの実測トルクは2.8°と8.8°。振動数はどちらも261CPMで、ヘッドなどの条件もできるだけそろえられました。

結果は、高トルク側のフェース角が平均約1°開き、ボールの最終到達位置も平均4.5m右寄りでした。40人中25人では、シャフトの変形によるフェース角の差が統計的に確認されています。

ただし、比較した2本のトルク差は約6°もあります。また、シャフトのねじれ角を直接測った実験ではありません。

この結果を、一般的な3.7°と4.8°の比較へそのまま当てはめることはできません。それでも、ねじれ特性がフェース角や弾道に影響する可能性を示した研究として興味深い内容です。

低トルクなら曲がらない、とは言えない

方向性はフェース角だけでなく、クラブパスや打点でも変わります。トルクが小さくても、切り返しのタイミングが合わなければ左右へ曲がることはあります。

試打で確かめたいのは「一番飛んだ1球」より、何球か打ったときの左右の散らばりです。低トルクという理由だけで選ぶより、無理なく振り切れるかを大切にしたいところです。

トルク・フレックス・振動数は別の数値

フレックスのR・SR・S・Xは、曲げ方向の硬さを示す分類です。振動数(CPM)は、一定条件で振動させたときの1分間の振動回数。トルクはねじれやすさなので、測っているものが違います。

同じSフレックスでもトルクは異なりますし、振動数が同じでも振り心地は一致しません。詳しくはフレックスの違いと振動数の解説も参考にしてください。

高トルクを生かしたJADE SPEEDER

フジクラのFW用「JADE SPEEDER」は、メーカー公式が「ハイトルク+DELOFT設計」を特徴としているシャフトです。ねじれだけでなく、曲げ剛性や軽量化を組み合わせて飛距離性能を狙っています。

スペックJADE FW 5SNX FW 55S
重量52g61g
トルク5.6°4.0°
振動数243CPM258CPM
調子中調子中調子

振動数はヘッド重量220g、長さ42.5インチ、グリップ重量50gでのメーカー測定値です。重量も振動数も違うため、この2本はトルクだけの比較ではありません。

「高トルクだから飛ぶ」と解釈せず、シャフト全体の設計として見る必要があります。

Diamana PDとS-TRIXX Yは同じ260CPMでも違う

私のドライバーシャフトを比較すると、次のようになります。

項目S-TRIXX Y 50SDiamana PD 50S
重量58g54.5g
トルク3.7°4.8°
調子元調子中元調子
振動数260CPM(メーカー参考)260CPM(工房実測)

Yの260CPMは、ヘッド重量201g(スリーブ込み)・45.25インチでの参考値。PDは私が工房で測定してもらった数字です。条件が一致するか分からないため、CPMだけでは硬さを比較できません。

実際には、S-TRIXX Yの方が少し硬く、ピンとした張りを感じます。ただ、重量や調子も違うので、その感覚をトルク3.7°だけの影響とは言い切れません。

工房で測ったPDの260CPMは私のクラブのデータです。一方、Yはメーカーが決めた組み上げ条件での参考値。同じ数字でも、測定対象や条件が違う点は読者にも知っておいてほしいところです。

低トルクのYでもチーピンは出た

S-TRIXX Yを使った1ラウンド目。練習では問題なかったのに、最初のティーショットからチーピンが出ました。その後もフックが続き、「コースでは使えないかも」と思いかけました。

そんなとき同伴者に「テンポが早いから、ゆっくり振ってみたら」と言われました。

あれ、いつもレッスンで言われていることだ……。思わず苦笑いしました。

そこで自分に「ゆっくり、ゆっくり」と言い聞かせ、軽めに振ってみたら非常に良い当たり。腕に力が入り、下半身も止まっていたのかもしれません。

2ラウンド目は全体的に良好でした。右ドッグレッグのロングでドローが強くなりOBを1回打ちましたが、ほかは好印象です。

メーカーはYを左へのミスを抑える元調子として設計しています。しかし、私には思ったよりつかまりやすく感じます。

トルクが関係している可能性はありますが、テンポの変化も大きかったはずです。どちらがどれだけ影響したかは分かりません。

HS45〜46m/sならトルク何度を選ぶ?

私のヘッドスピードは45〜46m/s程度ですが、トルク3°台が正解とは考えていません。4.8°のPDも長く使ってきましたし、3.7°のYもテンポが合えば良い球が出ます。

シャフトを選ぶなら重量や調子、振動数を見たうえで試打すること。先調子・中調子・元調子の違いも参考になります。

最終的には、無理なく振れて左右のミスが収まるか。練習場だけでなくラウンドでも同じテンポで振れるかを確かめたいです。

特に私の場合、テンポが速くなると左へのミスが増えがちです。数字が魅力的でも、意識して力を入れないと振れないシャフトなら、ラウンドで苦労するかもしれません。良い球が出たときの感触だけでなく、ミスしたときの傾向まで見て判断したいと思います。

まとめ|トルクは選び方の一つの材料

同じ条件なら、トルク3°は5°よりねじれにくくなります。研究ではフェース角への影響も確認されていますが、それだけで方向性の良し悪しは決まりません。

私の場合、PDとYはどちらも260CPM。それでも硬さや張りの感覚は違い、低トルクのYでもチーピンが出ました。

数字を理解したうえで、実際の振り心地と弾道を確認する。あくまで数値は参考にしましょう。

参考資料・出典

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