
「焦る」のではなく「賢く動く」。それがプレーファストです
ゴルフは楽しいスポーツです。しかし、自分たちの組のプレーが遅れる「スロープレー」は、ゴルフ場で最も嫌われるマナー違反の一つです。
なぜなら、たった一組の遅れが、後続のすべての組のプレー進行に影響を与えます。結果的に、ゴルフ場全体の流れを止めてしまうからです。
「急がないと!」と焦ってショットが乱れてしまっては本末転倒です。大切なのは「焦る」ことではありません。むしろ、「賢く準備し、テキパキ動く」ことです。
そこで今回は、基本マナー7選(関連記事:【初心者必見!】「知らなかった」じゃ済まされない!ゴルフ場での基本マナー7選)の第3弾として、スマートなゴルファーの必須スキルである「プレーファスト」について、3つの鉄則を掘り下げて解説します!
鉄則1:【打つ準備は早めに】を徹底的に掘り下げる
スロープレーの最大の原因は、「自分の番になってから準備を始める」ことです。
なぜ2〜3本クラブを持っていくのか?
カートからボール地点に向かう際、「使うクラブ1本だけ」を持っていくのは、実は非効率です。
- 「もしも」に対応するため: 「残り150ヤードだから7番」と決めて行っても、いざボールの場所に行くと、思ったよりつま先上がりだったり、風が強かったりして、「やっぱり8番にしよう」と思うことは日常茶飯事。そのたびにカートに戻っていては、時間がいくらあっても足りません。
- 具体的な持ち方:
- セカンドショット: 迷う可能性のあるクラブを2本(例:7番と8番)持ちましょう。
- グリーン周り: アプローチで使うウェッジ(例:AW)とパターの2本を必ず一緒に持っていきましょう。もしアプローチが寄らなくても、カートに戻らずそのままパットができます。
 
「準備」は同伴者がプレーしている間に
自分の番を待っている時間は、絶好の準備時間です。
- 距離の確認: カートでの移動中や、同伴者が打つ前に、自分のボールまでの残り距離をGPSや距離計で確認しておきます。
- 状況判断: ライ(傾斜)や風向きを確認し、どのクラブで打つかを「仮決定」しておきます。
- 素振り: 自分の番が来る前に、安全な場所で軽く素振りをしてイメージを作っておきます。
自分の番が来たら、最小限の素振りで「すぐに打てる」状態にしておくことが、スマートなゴルファーの証です。
鉄則2:【移動は小走りで】のメリハリをつける
「移動を急ぐ」と言っても、常に走り回るわけではありません。メリハリが大切です。
小走りを意識する「3つのタイミング」
- カートから自分のボールへ向かう時: ショットを打つまでは、気持ち早歩き〜小走りでボールに向かいましょう。
- ショットを打ち終わった後: 打った球の行方をしっかり確認したら、すぐにカートに戻るか、次の地点へ小走りで移動します。ダラダラと歩くのはNGです。
- グリーンから次のティーグラウンドへ: ホールアウトしたら、すぐにグリーンを離れて次のホールへ向かいましょう。スコアの記入は、カートでの移動中か、次のティーグラウンドで待っている間に行います。
※要注意!「走ってはいけない」場所
プレーファストは重要ですが、安全と芝の保護は最優先です。 特にグリーン上は絶対に走ってはいけません。デリケートな芝を傷つけ、スパイクマークだらけになってしまいます。グリーン上では静かに、しかしテキパキと動きましょう。
鉄則3:【前の組との間隔】を絶対に空けない
プレーファストの目的は、「前の組についていく」ことです。
「1ホール空く」=「15分の遅れ」
ゴルフのプレー間隔は、おおよそ1ホール15分で計算されています。もし前の組との間に丸々1ホール空いてしまったら、それはあなたの組が15分遅れている証拠であり、後続の全組を15分待たせていることになります。
常に「前の組」を視界に入れる
- 理想のペース: 前の組がグリーンでのプレーを終えて次のホールへ移動する頃に、自分たちがティーショットを打てる状態がベストです。
- 離されたら意識を変える: もし前の組の姿が見えなくなってきたら、それは「かなり遅れている」サインです。上記の「準備」と「移動」の意識を、組全体でさらに高める必要があります。
【上級者テクニック】さらにスマートにプレーするコツ
上記の鉄則に加え、以下の点も意識すると、さらにプレーがスムーズになります。
- 「レディ・ゴルフ (Ready Golf)」の実践: 安全が確認できる範囲で、打順(オナー)にこだわりすぎず、「準備ができた人から打つ」という考え方です。ただし、同伴者の正面に立つなど、危険な行為は絶対にしないでください。
- ボールの行方を全員で見る: ボール探しは、スロープレーの大きな原因です(※ボール探しは3分以内というルールがあります)。同伴者が打った時も、一緒にボールの行方を見てあげる「思いやり」が、結果的に組全体のプレーファストに繋がります。
まとめ:プレーファストは、同伴者と後続組への「最大の思いやり」
今回は、スロープレーを防止するための3つの鉄則を掘り下げて解説しました。
- 準備は早く: 同伴者が打っている間に、クラブの準備を完了させる。
- 移動は早く: ショット以外は常に小走りを意識する(グリーン上は除く)。
- 間隔は空けない: 常に前の組を視界に入れ、1ホール以上空けない。
プレーの進行を意識することも、ゴルフのスコアと同じくらい重要なマナーです。 焦る必要はありません。賢く準備し、テキパキと動く。このスマートな「プレーファスト」を身につけ、あなたも同伴者も、そして後続組も、全員が気持ちよく一日を終えられる素敵なゴルファーを目指しましょう!


