 
皆さんは、ラウンド中に「会心の一打!」が出た瞬間、どんな気持ちですか? 最高の気分ですよね。しかしながら、その「ナイスショット!」の裏で、私たちがプレーさせてもらっている美しいゴルフコースは、確実にダメージを受けています。
- フェアウェイの芝をえぐってしまう「ディボット」
- グリーンにできる「ボールマーク(落下跡)」
- バンカーショットでできる「足跡」や「クラブの跡」
さて、これらの直し方、皆さんは自信を持って「完璧です!」と言えますか?
もし、少しでも不安があるなら、この記事は必読です。なぜなら、これらを修復せずに放置することは、単なるマナー違反では済みません。さらに、それは、後続の組のプレーを著しく困難にする「アンフェア」な行為であり、コースコンディションを悪化させる最大の原因となります。
今回は、基本マナー7選(関連記事:【初心者必見!】「知らなかった」じゃ済まされない!ゴルフ場での基本マナー7選)の第4弾として、コースへの感謝と後続組への配慮を示す、ゴルファーとしての「責任」であるコース修復について、その重要性と正しい方法を徹底的に掘り下げます!
1. なぜ修復は「マナー」ではなく「責任」なのか?
「自分がやらなくても、コース管理の人がやってくれるでしょ?」
もし、そう思っているとしたら、それは大きな間違いです。というのも、特にセルフプレーが主流の現代ゴルフにおいて、コースコンディションを維持しているのは、まさに今プレーしている私たちゴルファー一人ひとりなのです。
放置が招く「修復不可能なダメージ」
実際、ゴルフ場の芝生は、私たちが思うよりずっとデリケートです。
例えば、グリーンにできたボールマーク。これを放置した場合、芝の根が切れてしまい、その部分が枯れて凸凹のまま固まってしまいます。その結果、完全に修復するには、数週間から1ヶ月以上かかることも。
しかしながら、もし落下直後に正しく修復すれば、芝は数日で回復することができます。この差は非常に大きいですよね。
後続組への「アンフェア」な罠
ここで、想像してみてください。完璧なティーショットがフェアウェイのど真ん中に飛んだのに、ボールが他人の作ったディボット跡にスッポリとハマっていたら?
あるいは、バンカーで他人の深い足跡から、難しいショットを強いられたら?
グリーン上で、自分のパットライン上に、誰かが直さなかったボールマークの凸凹が立ちはだかったら?
どれも、自分のミスではないのにペナルティを受けるようなものです。言うまでもなく、非常に不快ですし、何よりアンフェアです。
したがって、自分がプレーして作った傷跡は、自分で元に戻す。これは、次にプレーする人が自分と同じ(あるいはそれ以上)良いコンディションでプレーできるようにするための、ゴルファーとしての最低限の「責任」なのです。
2. 【実践編】ディボットの正しい直し方:「ターフ」か「目土」か
アイアンショットで芝生がえぐれた跡が「ディボット」です。とりわけ、フェアウェイでは必ず修復しましょう。
パターンA:ターフ(芝)が綺麗に取れた場合(最優先!)
もし、えぐれた芝(ターフ)が原型を留めて近くに飛んでいたら、迷わずそれを拾って元の位置に戻してください。これが芝にとって一番の修復方法です。
- 取れたターフを拾います。
- 元のディボット跡にパズルのようにハメ込みます。
- 上から足でしっかりと踏みつけ、地面と密着させます。
というのも、芝は、根が切れても地面と密着していれば、再び根付くことができます。したがって、これが最も素早い回復につながります。
パターンB:ターフが粉々になった/見つからない場合
一方で、ターフが粉々になってしまった場合や、見つからない場合は、カートに備え付けの「目土(めつち)袋」を使います。
- 目土袋から砂(目土)をディボット跡に入れます。
- コツ: 目土は、芝の再生を助けるためのものです。穴いっぱいに山盛りにしないでください。山盛りにすると、逆に芝刈り機の刃を痛める原因になります。
- そして、穴を埋めた後、地面と平らになるように靴の裏やクラブヘッドで軽くならしてください。少し凹んでいるくらいが丁度良いです。
3. 【実践編】バンカーの正しい直し方:「入る前から出るまで」が修復
次に、バンカーショットを打った後は、必ず備え付けのレーキ(熊手)で砂を均します。
- 修復範囲: ショット跡だけではありません。自分がバンカーに入った時の「足跡」から、ショットし、バンカーから出るまでの「足跡」まで、すべてを修復対象と考えましょう。
- 均すコツ:
- まず、打球でできた深い穴や、アゴ(土手)に近い場所の砂を、レーキで低い方へ戻します。
- 次に、足跡全体を均していきます。レーキは砂に深く突き刺すのではなく、砂の表面を「撫でる」ように優しく引くと綺麗に平らになります。
- 最後に、バンカーの縁(低いところ)から、自分の足跡を消しながら後ずさりして外に出ます。
 
- レーキの置き場所: 均し終わったら、レーキは他のプレーヤーの邪魔にならないよう、バンカーの縁と平行に、指定された場所(通常はバンカーの外)に戻します。
ちなみに、バンカーショットが苦手な方は、こちらのバンカー攻略法記事「【簡単に脱出】力まなくても大丈夫!バンカーショットの基本的な打ち方をレッスン」も併せて読んでみてください。
4. コース修復の「相棒」!おすすめグリーンフォーク選び
さて、コース修復、特にボールマーク直しで絶対に欠かせないのが「グリーンフォーク」です。私たちギア好きとしては、こんな小物にもこだわりたいですよね。
もちろん、「ティーペグで代用すればいいや」は絶対にNGです! ティーは太すぎたり、先端が尖りすぎていたりするため、逆に芝の根を深く傷つけてしまいます。
だからこそ、グリーンフォークは、ゴルファーの「責任」を果たすための必須装備です。それでは、タイプ別に特徴を見ていきましょう。
①スタンダードな「2本刃」タイプ
- 特徴: 最も一般的で、シンプルかつ機能的。
- 選び方: 芝を傷つけにくいよう、先端が鋭すぎず、適度に丸みを帯びているものがおすすめです。素材もアルミ、ステンレス、真鍮など様々。そのため、軽さや耐久性で選ぶと良いでしょう。
- おすすめな人: つまり、初心者から上級者まで、すべての人におすすめです。
②スタイリッシュな「1本刃(スイッチブレード式)」タイプ
- 特徴: 折りたたみ式(飛び出しナイフのような形状)で、ポケットに入れても布地を傷つけません。また、見た目もスマートです。
- 使い方: 2本刃と少し感覚が異なり、「刺して寄せる」というより「刺して捻る」ように使うモデルもあります。そのため、慣れれば素早く修復可能です。
- 選び方: ボタン操作の感触や、刃のロック機構がしっかりしているかを確認しましょう。
- おすすめな人: 要するに、ポケットの中をスマートにしたい方、デザイン性を重視する方におすすめです。
③所有欲を満たす「多機能・デザイン」タイプ
- おすすめな人: 「どうせ持つならカッコいいものが良い!」という、私たちのようなギア好きにピッタリです。
- 特徴: ボールマーカーがマグネットで付いていたり、グリップエンドにクラブの溝掃除用ブラシが付いていたりします。
- 選び方: 木製のハンドルや、有名ブランドのロゴ入りなど、デザインは無限大。まさに「ギア」としての楽しみがあります。
このように、お気に入りのグリーンフォークを1本持っていると、ボールマークを直す行為自体が少し楽しくなるものです。ぜひ、次のラウンドまでに「相棒」を見つけてみてください。
5. 【最重要】ボールマークの正しい直し方:グリーンフォークは「寄せる」が正解!
最後に、グリーン上にできたボールの落下跡(凹み)が「ボールマーク」です。もしこれを放置すると、芝が枯れてグリーンが凸凹になり、全員のパットに大きく影響します。
ここで、最も多くの人が間違っているNGな直し方を紹介します。
NGな直し方(絶対にやめてください!) 凹みの底から芝を持ち上げるように、グリーンフォークを下から上に「テコの原理」で突き上げること。
理由: これをやると、芝の根が地中でブチブチと切れてしまいます! つまり、表面上は平らに見えても、根が切れた芝は再生できず、結局は枯れてしまう最悪の方法です。
では、どうすれば良いのか? 正解は「寄せて、集めて、平らにする」です。
OK!正しい直し方(ステップ・バイ・ステップ)
- グリーンフォークを、ボールマークの縁(外側)の、少し土が盛り上がっている部分に斜めに刺します。
- フォークの先を、凹みの中央に向かって「グイッと寄せる」ように、土(根)を動かします。(「持ち上げる」のではなく「寄せる」意識が100%です!)
- これをマークの周囲3~4方向から繰り返します。すると、凹んでいた中央部分に芝生と土が集まってきます。
- 中央に寄せられて少し盛り上がった芝を、最後にパターのソール(裏側)や靴底で、上から軽くトントンと叩き、平らにしたら完了です。
このように、この方法なら、芝の根を切断することなく、ダメージを最小限に抑えて修復できます。
余裕があれば「他人のマーク」も直そう
自分のマークを直すのは「責任」です。もしグリーン上で余裕があれば、目についた他のボールマークも1~2個、サッと直してみてはいかがでしょうか。
グリーンが綺麗になれば、結果的に自分のパットも入りやすくなるかもしれません。そして、これはコースへの感謝を示す、最高にクールな上級マナーです。
まとめ:コースを大切にする気持ちが、あなたを「良いゴルファー」にする
このように、今回は、ディボット、バンカー、ボールマークの修復という、ゴルファーの「責任」について徹底解説しました。
- ディボットは、ターフを戻す(最優先)か、目土を入れる。
- バンカーは、入った時から出た時までの足跡をすべて均す。
- ボールマークは、フォークで「持ち上げず」に「寄せて」から平らにする。
これらの行為は、スコアカードには一切現れません。しかしながら、コースを大切にし、次にプレーする人へ配慮するその気持ちこそが、あなたをスコア以上の「真の良いゴルファー」にします。
これは、初めてのラウンド準備にも通じる、大切な心構えです。
ですから、次回のラウンドでは、ぜひポケットに「お気に入りのグリーンフォーク」を忍ばせて、コース修復もゴルフの楽しみの一つとして実践してみてください。そうすれば、きっと、ゴルフがもっと深くなりますよ!
